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大阪地方裁判所 平成8年(わ)395号・平8年(わ)583号 判決

右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官見越正秋出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役二年及び罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は

第一  大阪府大阪市渋川町二丁目一〇番二〇号に本店を置き、陳列金物製造業営む株式会社有明製作所(資本金は、平成四年一一月一〇日、五〇〇万円から二〇〇〇万円に変更。以下「有明製作所」という。)の代表取締役として同社の業務全般を統括している川畑春夫及び同社の経理責任者である川畑芳子から依頼を受けて同社の法人税確定申告手続に関与したものであるが、右川畑春夫、川畑芳子、右両名から依頼を受けて同申告手続に関与した道下貞彦(以下「道下」という。)並びに道下から依頼を受けて同申告手続に関与した岡本末隆と共謀の上、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て

一  平成三年九月一日から平成四年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が九〇二七万六〇二一円(別紙一の1の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額(課税留保金に対する法人税額を除く。)が三二八四万七四〇〇円(別紙一の1の(二)税額計算書参照)であったにもかかわらず、架空仕入を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年一〇月二九日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三四三六万四八八三円(別紙一の1の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額(課税留保金に対する法人税額三万二〇〇円を除く。)が一一八八万四〇〇円(別紙一の1の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙一の1の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二〇九六万七〇〇〇円を免れ

二  平成四年九月一日から平成五年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が八五一九万八二〇二円(別紙一の2の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三〇九八万四四〇〇円(別紙一の2の(二)税額計算書参照)であったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年一〇月二七日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三一一〇万一二四八円(別紙一の2の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が一〇六九万八〇〇〇円(別紙一の2の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙一の2の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二〇二八万六四〇〇円を免れ

三  平成五年九月一日から平成六年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が八二一八万九三七七円(別紙一の3の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が二九九二万二二〇〇円(別紙一の3の(二)税額計算書参照)であったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年一〇月二八日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三四八四万六四五九円(別紙一の3の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が一二一六万八六〇〇円(別紙一の3の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙一の3の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税一七七五万三六〇〇円を免れ

第二  大阪府東大阪市御厨北ノ町九四番地の二二に本店を置き、土木工事業を営む株式会社根建組(資本金は三五〇〇万円。以下「根建組」という。)の専務取締役として同社の業務全般を統括している水島直臣(以下「水島」という。)から依頼を受けて同社の法人税確定申告手続に関与したものであるが、水島及び水島から依頼を受けて同申告手続に関与した道下と共謀の上、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一  平成三年一〇月一六日から平成四年一〇月一五日までの事業年度における実際の所得金額が八二四六万一三四一円(別紙二の1の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三〇〇七万三〇〇円であった(別紙二の1の(二)税額計算書参照)にもかかわらず、架空外注費を計上するなどの行為により、その所得を秘匿した上、同年一二月八日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が五一万一九七九円(別紙二の1の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が零円(別紙二の1の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙二の1の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税三〇〇七万三〇〇円を免れ

二  平成四年一〇月一六日から平成五年一〇月一五日までの事業年度における実際の所得金額が一億四一〇〇万二四七五円(別紙二の2の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が五二〇一万三五〇〇円(別紙二の2の(二)税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年一二月一五日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一六二七万八一七九円(別紙二の2の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が五二四万二〇〇〇円(別紙二の2の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の申告期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙二の2の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税四六七七万一五〇〇円を免れ

三  平成五年一〇月一六日から平成六年一〇月一五日までの事業年度における実際の所得金額が一億一二八七万三六〇九円(別紙二の3の(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が四一四七万円(別紙二の3の(二)税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年一二月一五日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四八二八万七四七円(別紙二の3の(一)修正損益計算書参照)で、課税留保金額が六一五万一〇〇〇円であり、これらに対する法人税額が一七八六万二八〇〇円(別紙二の3の(二)税額計算書参照)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、別紙二の3の(二)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二三六〇万七二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)(括弧内の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  証人道下貞彦の当公判廷における供述

判示第一の事実全部について

一  第一回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する供述調書三通(五五ないし五七)

一  第一回公判調書中の分離前の相被告人川畑春夫、同川畑芳子、同道下貞彦及び同岡本末隆の各供述部分

一  川畑春夫(五通)、川畑芳子(七通)、道下貞彦(五通)、岡本末隆(二通)及び卒田正の検察官に対する各供述調書(八、三二ないし三五、三七、四一ないし四四、四六ないし五三、五九、六一。ただし、四九ないし五一、五三は不同意部分を除く。)

一  査察官調査書三通(一五、二三、二四)

一  「所轄税務署の所在地について」と題する書面(七)

一  法人登記簿謄本(二八)

一  閉鎖された役員欄用紙謄本二通(二九、三〇)

判示第一の一の事実について

一  査察官調査書七通(九、一一、一二、一六、一八、二五、二六)

一  査察官報告書の謄本(五一七)

一  証明書(四)

判示第一の二及び三の事実について

一  査察官調査書六通(一〇、一七、一九、二〇、二二、二七)

判示第一の二の事実について

一  査察官調査書(一三)

一  証明書(五)

判示第一の三の事実について

一  査察官調査書二通(一四、二一)

一  査察官報告書の謄本(五一五)

一  証明書(六)

判示第二の事実全部について

一  第八回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する供述調書三通(四〇三ないし四〇五)

一  第八回公判調書中の分離前の相被告人水島直臣、同株式会社根建組の代表者根建順男及び同道下貞彦の各供述部分

一  証人水島直臣の公判廷における供述

一  第二六回、第二七回及び第三六回公判調書中の証人道下貞彦の各供述部分

一  根建順男、水島直臣(五通)、新村弘子(四通)、水島優、山口幸子及び卒田正の検察官に対する各供述調書(三七七ないし三八一、三八三、三八四、三八八、三九〇、三九三ないし三九五、三九七)

一  査察官調査書一四通(三五一、三五二、三五四ないし三五七、三六〇、三六二、三六三、三六七、三六九、三七一ないし三七三)

一  査察官調査報告書(五二四)

一  「所轄税務署の所在地について」と題する書面(三四九)

一  法人登記簿謄本(三八五)

一  閉鎖された役員欄用紙謄本(三八六)

判示第二の一の事実について

一  査察官調査書四通(三五八、三六一、三六四、三七五)

一  証明書(三四六)

判示第二の二及び三の各事実について

一  査察官調査書三通(三五九、三六八、三七四)

判示第二の二の事実について

一  加治屋雄二の検察官に対する供述調書(三八二)

一  査察官調査書三通(三五三、三六五、三七六)

一  証明書(三四七)

判示第二の三の事実について

一  査察官調査書三通(三五〇、三六六、三七〇)

一  査察官報告書の謄本(五一八)

一  証明書(三四八)

(事実認定の補足説明)

一  弁護人は、判示第二の各事実について、被告人には法人税ほ脱の意思がなく、道下らとの共謀もないから無罪であると主張し、被告人も、公判廷において、捜査段階の自白を翻した上、各期の法人税確定申告書に山口幸子税理士の記名押印をしたが、右申告書の中身は見ておらず、道下から説明を受けたこともないとして、法人税の脱税及び架空外注費の計上についての認識を否定し、消費税の脱税が行われているのでないかと漠然と思っていたにすぎず、受け取った報酬も消費税の脱税に関するものと思っていたと供述している。

二1  そこで検討するに、被告人の捜査段階における供述及び道下の公判供述の概要は、<1>被告人が、根建組の平成四年一〇月期から平成六年一〇月期までの各申告に関して、道下から、水島と話し合った結果、架空外注費の計上による法人税の脱税をすることになったと報告され、これを了承した、<2>その後、被告人と道下が、あらかじめ報酬要求額を相談して決めた上で、一緒に根建組に赴き、被告人の面前で、道下が水島に当期の決算申告の概要を説明し、かつ、報酬を要求した、また、<3>平成五年一〇月期の申告に関して、道下と被告人が根建組に赴いた際には、同和団体幹部岡本末隆が経営するスエタカ企画に対する架空外注費を計上することが、被告人も交えて話し合われたというものである。

いずれも、前後の経緯を含め、具体的かつ詳細である上、平成三年一〇月期には消費税の脱税だけが行われたが、多額の利益が出るようになった平成四年一〇月期からは法人税の脱税も行われるようになったという経緯、スエタカ企画に対する架空外注費を計上することが被告人を交えて話し合われたという状況、平成五年一〇月期までの法人税確定申告書は、税理士欄に被告人が山口税理士の記名押印をした上で、西成同友会を経由して提出されていたが、ヤマヨ運輸株式会社に対する査察が入った後に提出された平成六年一〇月期の法人税確定申告書は、税理士欄を空欄にしたまま、平和商工会を経由して提出されたという経緯なども含め、その内容の大筋は自然かつ合理的である。また、右に述べられた被告人の関与の状況は、単に法人税確定申告書に山口税理士の記名押印をするだけでなく、毎年一、二回程度は道下と共に根建組事務所に赴いていたこと、三年間に受け取った脱税報酬は合計四四〇万円であって、道下の取り分合計約六八〇万円と比較してさほど劣るものではないことなどに照らしても誠に自然かつ合理的である。特に、根建組に関する本件各犯行とほぼ同時期に行われた有明製作所に関する各犯行では、被告人の報酬額が道下の報酬額の半分以下であったにもかかわらず、道下は架空仕入の計上による法人税の脱税を被告人に打ち明けているのであって、根建組に関する本件各犯行で、道下が報酬を独占するために事情を殊更隠していたというような状況もうかがわれない。共謀の成立に関し利害関係が対立する両者の供述がおおむね一致していることに照らしても、前記の両者の供述は、大筋において極めて信用性が高いと考えられる。

2  これに対し、弁護人は、被告人の捜査段階における供述について、根建組の消費税の脱税に関与して報酬を受け取っていたことに対する自責の念や、有明製作所の法人税の脱税には関与していながら、根建組の法人税の脱税には関与していないという弁解は通りにくいと考えたこと、さらに、根建組の法人税確定申告書に記名押印していながら、脱税に気付かなかったとはいいづらかったことなどがあいまって、取調官にいわれるまま自白調書に署名押印したものであるから、右供述は信用できないと主張し、被告人も、公判廷でこれに沿う供述をしている。

しかしながら、元税務署職員で、当時税理士であった被告人が、身柄拘束を受けていない状態で、取調官から特に押しつけられるなどしたというわけでもないのに、右のような心境から、真実に反する自白調書の作成に応じたとはにわかに信じ難い上、仮に被告人がそのような心境になったとしても、それだけで申告に至るまでの詳細な経緯についての供述を含む自白調書が作成されたとは考え難い。被告人の捜査段階における供述には、記憶が定かでないと明言する部分や、細部において道下の供述と一致していない部分も見られることをも考え合わせると、右自白調書は、道下の供述を鵜呑みにすることなく、被告人の弁解を十分に聴いて作成されたものと考えられる。弁護人の主張は採用できない。

3  また、弁護人は、道下の公判供述について、<1>道下が被告人にいちいち根建組の各期の利益額や架空外注費を計上することを報告していたという点や、道下が、平成四年一〇月期において、試算表で当期の利益額が分かっただけの段階で、秘密めいてすぐに被告人と別室で相談したという点など、種々の不自然あるいは不合理な点がある上、<2>道下の言動を被告人の言動とすり替えるような供述の変遷が少なからず見られるのであって、被告人に責任を転嫁して自己の刑責を軽減しようとする態度が顕著であるから、右供述は信用できないと主張する。

しかしながら、前記<1>のうち、道下が被告人にいちいち報告していたという点は、もともと報告内容が決算申告の概要程度にとどまっており、有明製作所に関する各犯行と比較して特に不自然とはいえないし、他方で、あえて多額の報酬を分配する以上、被告人に責任の一端を負わせるため、ある程度の報告がなされていたのはむしろ当然とも考えられる。また、被告人と道下が別室で相談したという点も、平成三年一〇月期においては、利益がほとんど上がっていなかったことから、消費税のみが脱税の対象になったが、平成四年一〇月期においては、試算段階でかなりの利益が出ることが判明し、このままでは多額の法人税を支払わなければならなくなることが必至であったという経緯に照らすと、あながち不自然とはいえない。さらに、弁護人が不自然あるいは不合理であると指摘するその他の点も、道下の公判供述全体の信用性を左右するものとはいえない。また、前記<2>については、確かに、弁護人が指摘するような変遷がうかがわれるところであり、その限度で、被告人に責任を転嫁しようとする態度が道下に全くないとはいいきれない。しかしながら、右変遷は、有明製作所に関する各犯行や、根建組に関する本件各犯行における報酬に関するものなどに限られており、これらの変遷をもって、ただちに道下の公判供述全体の信用性が左右されるとまではいえない。道下が、根建組に関する各犯行において、主導的な役割を果たしたこと自体は何ら否定していないことや、道下が根建組に関する各犯行を含む合計七件の脱税請負事案等で起訴されており、根建組に関する各犯行の占める割合がさほど高くないことなどをも併せ考えると、責任転嫁の態度が格別濃厚とまではいえず、少なくとも被告人の捜査段階における供述と符合する部分については、その信用性を十分に肯定することができる。

弁護人の主張は採用できない。

三  他方、被告人の公判廷における弁解は、被告人の捜査段階の供述及び道下の供述と唐突に矛盾する上、被告人が、毎年相当多額の脱税報酬を根建組から受け取っていたことや、根建組における従業員寮の建設を知っていたことに照らすと、平成四年一〇月期以降も、平成三年一〇月期と同様、根建組にほとんど利益が上がっていないという認識だったとは考え難く、そうだとすると、消費税の脱税だけを行うという具体的な説明を受けていたわけではないのに、消費税よりはるかに税率の高い法人税の脱税には思い及ばなかったということ自体が不自然かつ不合理であり、到底信用できない。

四  また、弁護人は、道下と被告人が根建組を訪れた際にも、被告人の面前では架空外注費を計上するという話は出ていないという水島の公判供述を挙げて、これに反する被告人の捜査段階における供述及び道下の公判供述の信用性を争う。

しかしながら、水島の公判供述は、被告人が道下と共に根建組に赴いたかどうかなど種々の点で極めてあいまいである一方で、水島も、印象としては、被告人が法人税の脱税に気付いていたのは間違いないと思っていたと供述しているのであり、被告人の捜査段階における供述及び道下の公判供述の信用性を動揺させたり、被告人の公判供述の信用性を高めたりするものとはいえない。

五  以上によれば、被告人が、架空外注費の計上を伴う法人税の脱税が行われていたことを認識していたことは明らかであり、法人税ほ脱の意思及び道下らとの共謀を優に認定することができるから、弁護人の主張は採用できない。

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により同法による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)六五条一項、六〇条、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑及び罰金刑の併科を選択し、以上は旧刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役二年及び罰金八〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

(量刑の理由)

本件は、当時税理士であった被告人が、古くからの知人で被告人が共同経営する税理士事務所事務員でもあった道下らと共謀の上、同事務所の顧問先二社の三事業年度にわたる法人税確定申告手続に関与し、法人税合計約一億六〇〇〇万円をほ脱したという事案である。

報酬目的の常習的な犯行であり、ほ脱額の合計も高額であること、同和団体が税務署に影響力を有するという認識から、架空仕入や架空外注費を計上した上、西成同友会や平和商工会を通じて申告するなど、手口も大胆であること、受領した報酬の額も合計約一二〇〇万円と多額であること、根建組に関する犯行については不合理な弁解に終始していることなどに照らすと、被告人の刑事責任は相当に重い。

しかしながら、他方で、税理士である被告人の役割の重要性自体は否定できないにせよ、本件各犯行において脱税工作の大半を行っただけでなく、単独でも少なからぬ件数の脱税請負を行っていた道下に比べると、その役割の重要性は一段下がること、有明製作所に関する犯行については事実を認め、反省の情を示していること、前科前歴がなく、本件によって税理士資格を失うという不利益も受けていることなど、被告人に有利な事情も存する。

そこで、これらを総合して考慮した結果、被告人には、主文の懲役刑及び罰金刑に処した上、懲役刑についてはその執行を猶予するのが相当であると判断した。

よって、主文のとおり、判決する。

(裁判長裁判官 的場純男 裁判官 伊元啓 裁判官 渡部市郎)

別紙 一の1の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙 一の1の(二)

税額計算書

<省略>

別紙 一の2の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙 一の2の(二)

税額計算書

<省略>

別紙一の3の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙一の3の(二)

税額計算書

<省略>

別紙二の1の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙二の1の(二)

税額計算書

<省略>

別紙二の2の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙二の2の(二)

税額計算書

<省略>

別紙二の3の(一)

修正損益計算書

<省略>

別紙二の3の(二)

税額計算書

<省略>

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